※投稿サイトのpixivに投稿したお話、ラリー視点です。
ドラマが完結してから久しく、同志様がいらっしゃるかも分からなかったため、 「NUMB3RS」の宣伝も兼ねて公の場所に行って来よう!と思ったのですが、 投稿から約1ヶ月後にスーパー!ドラマTV様での一挙放送が決定したため、大急ぎでサイトに戻ってきました。(笑)
公式様は心から応援していますが、「こういうファンがこういう感じで応援しているのか」と認知されるのは怖くて…。
pixivでは「碧井」名義で活動しておりましたが、公式様からの供給が無くなったら再び宣伝に戻るか、個人サイトだけで続けていくかは未定です。
カップリング無しのお話ですが少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。それではどうぞ。
◇◇◇それいけラリー◇◇◇
私の名前はラリー・フラインハート。
物理学博士であり、南カリフォルニア工科大学の終身教授という肩書きを持っている。
授業では特に力を入れて宇宙の面白さや物理学の素晴らしさを説いているつもりだが、 人と人との繋がりというものはまるで宇宙のようにゆがみやねじれで満ちているため、必ずしもそれが真っ直ぐに伝わらず眠気を誘ってしまうことが多いらしい。
誰にも言わないが、講義中、気付けばすべての生徒が机に突っ伏して宇宙のゆりかごに揺られていたという伝説の回がある。
前向きに捉えるとするならば私の話し方は穏やかなのだろう。少し長いという欠点を除けば。
さて、今日はそんな私がなぜ日本のPixivという投稿型会員サイトに出没したかを先に述べておきたい。
分かっているとは思うけれど、ただのお散歩ではない。
断固とした決意と確固たる意志を持ってここにやって来た。
注釈として付け加えておくが、宇宙まで行ったことのある私が、少し国を跨ぐくらいのことは実に容易い。
ゆえに「ラリーは日本には来ないでしょ」といった類の指摘はすべて無視させていただくことを先に詫びておこう。
ここからは本題に入る。
私は、つい先日気が付いたことがあるのだ。
久方ぶりに日本のレンタルビデオショップに入った際、海外ドラマを取り扱うコーナーに足を運んでみた。
今では洋画やドラマの視聴もすべてオンラインで完結することができる時代であるからして、「借りに行く」という回数が少なくなったように思う。
コロナ禍で外出を控えていたという背景もあった。
そこで何年振りだろう、私やチャーリーやお兄さんが出演しているドラマ、「NUMB3RS ~天才数学者の事件ファイル~」のDVDがお店に置かれているか探したんだ。
―――無い。
えっ? 待ちたまえ。「無い」???
そのときの私の表情を想像してみてほしい。
ヒントを出すとするなら、口は開いていた。
まるで広くて暗い宇宙に1人置き去りにされたかのような絶望感だったことは言うまでもないだろう。
重ねて言うが、「無い」?????
これはあってはならない事件ではないかと思う。お兄さんとチャーリーの出番だ。
しかし国際通話は高い。私はとりあえず事態の顛末をメールで送った。
けれど彼等には「また旅に出たのか?」「早くこっちに帰っておいでよ」と大して相手にもされなかった。
宇宙や僧院やドラマ「24」に行った弊害がここにも出ている。
本来ならば主演である彼等をこの場に派遣したかったわけだけれども、私が単独で出てきたのにはこういった背景があることを心から残念に思う。
というわけで、私はつい先日、一部のレンタルビデオショップからは既に「NUMB3RS ~天才数学者の事件ファイル~」のDVDが撤去されていることを知った。
時間の矢は過去から未来に向かって放たれているという時代の流れを感じざるを得ない。
仕方がないことだ。本国あるいは日本、近隣諸国でも、新しい映画やドラマは毎月何本も出されている。
借り手が少ないもの、完結して時間が経ったものは淘汰されていくのが自然の法則だ。
日本ではマイナーと呼ばれる当作品も、徐々にその役目を終えてきたということなのだろう。
私は膝を折りたい衝動を必死で抑えながら思った。
しかし。しかしである。
ここで私が言いたいのは、【【【オンライン動画視聴サービスでは、DVD特典の「NG集」などは見られないのでは?】】】という点だ。
黒板なら太字で書くところなのだが、ここではそれが出来ないため謎の記号で精一杯囲むことを許してほしい。
前のめりで語らせて頂くが、本作品のDVDには、オンライン配信などでは収録されていない「特典映像」があるのだ。
内容は主に「NG集」「撮影セット紹介」「製作陣へのインタビュー」「未公開シーン」などで、1シーズンにつき数話収録されていることが多い。
お兄さんやチャーリーを始めとするFBIメンバーのふとした瞬間の素の一面などを見られる、ファン垂涎の特典であると言えるだろう。
私はあまり出てきていないところから、需要が無いのだと自ら気付いて口を押さえたことには触れないでほしい。
しかし驚くべきことに、私調べではこれらの特典映像はオンラインの動画配信サービスでは配信されていないのだ。
であれば「特典映像もあるからDVDを買ってね」ぐらいの文言は付け加えていてもよいのではないかと思うが、それも無い。
日本人は謙虚が美徳とはいえ、どこまで控え目なのかと頭を抱えずには居られない。
これでは、有料動画配信サイトを見て新たにファンになってくれた視聴者の方々に、「特典映像があるのだよ」と伝える術が無いではないか。
そして、それらが気軽に確認できるDVDのレンタルショップでは、既に本作が撤去され始めている。
ジーザス。
ゆえに私がこの場に足を運んだというわけである。
つまり私が言いたいのは、「新たにファンになった方々が居らっしゃるのであれば、光の速さでレンタルビデオショップに駆けてほしい」という点である。
申し訳ないことだが、既にレンタル落ちしているお店も多いであろうそれを、のんびり勧めている余裕はない。
私の出没を無駄にしないためにも、もし少しでも特典映像を見たいなという気持ちがある方は、一刻も早く近くのお店に確認しに行ってほしい。
無い場合は年末年始のお休みを利用して多少足を延ばすのもいいだろう。そのために私が師走に大急ぎで派遣されたとも言える。
時節柄無理は禁物なので、くれぐれも注意してほしいが。
そうして、これは小声で伝えさせて頂くが、気に入ったならDVD-BOXの購入をするという手段もある。
高い買い物となるので安易には勧めないが、手元に置いておくことで我々にいつでも会えること、いつ本作が店頭から姿を消すか分からないこと、そして公式に感謝の意味を込めてお金を落とすことが重要だと私は考えている。
総勢何十枚にもなるDVD-BOXが、君の小宇宙とも言える部屋に並ぶところを想像してみてほしい。
本作の素晴らしいところは、誰かに見られても「数学を学べるドラマなんだよ」と胸を張って言えるところである。
心の内では人物同士の掛け算を描いていても、口にさえ出さなければ問題は無い。
最も、それもある意味掛け算という数学を学べるという意味にはなるが。
日本の素晴らしいことわざに、「推しは推せるときに推せ」というものがある。
本作の場合、需要が擦り減っているらしいところから、「推しは買えるうちに買え」も付け加えさせてもらおう。
ちなみに筆者は10年ほど前から、Blu-ray版が出ないかと財布を握り締めてずっと待っている。
が、出そうにない。
いつの日かDVD版とBlu-ray版を棚に並べて拝むのが夢なのだが、夢は夢で終わりそうなこと、
お財布を握り締めた手だけがそこにはあること、
そしてその手でキーボードを叩いていることを、ここに記しておく。
---fin---
2021.12.28